洋画

海の漢は”爆発”だ!DC映画「アクアマン」レビュー【ネタバレあり】

アクアマン

原題:AQUAMAN
上映時間:143分
監督:ジェームズ・ワン
キャスト:ジェイソン・モモア アンバー・ハード ウィレム・デフォー パトリック・ウィルソン ドルフ・ラングレンなど

あらすじ

DCコミックス原作のヒーローで、「ジャスティス・リーグ」にも参戦したアクアマンを主役に描くアクション大作。

海底に広がる巨大な帝国アトランティスを築いた海底人たちの王女を母に持ち、人間の血も引くアクアマンは、アーサー・カリーという名の人間として地上で育てられた。

やがて、アトランティスが人類を征服しようと地上に攻め入り、アクアマンは、アトランティスとの戦いに身を投じていく。

引用元:https://eiga.com/movie/83920/

2月9日 なんばパークスシネマにて2D字幕版を鑑賞 75/100点 ]

なんばパークスにて撮影

安定感はDCユニバース作品で間違いなく1番!

DCユニバース待望の新作にして、ヒーロー集合映画だった「ジャスティス・リーグ」以降はじめての単独主人公の作品! 期待が高まる中、見て参りました。

本当はIMAX版を見たかったのですが、通いやすいIMAXシアターは軒並み「ファーストマン」を上映中、むむむ・・・。やむなく2D字幕版です。

内容は普通に楽しめた快作でございました。「アクアマン」の感想をさっくりと綴ります。

本記事は「アクアマン」本編のネタバレと、映画「マッキー」の一部ネタバレを含みます。ご注意ください。

カラッと安心して楽しめる家族物語

この映画、まず基本軸が家族の離散と再構築にあるのが非常に分かりやすくてグッド!

父と母、地上人と海の女王の禁断の愛からスタートさせて、誰もよくわかっていないアクアマンその人の生い立ちをしっかり見せてくれるのでデビュー作として申し分なし。

そしてこれまでに作られた「マン・オブ・スティール」や「ワンダーウーマン」ら単独作と決定的に違うのが、開幕から気持ち良くヒーローしているところが凄くイイ!

前作「ジャスティス・リーグ」でデビューしていたことが明るい作風に振り切るために活きています。

ハッピーアワーの酒目的にそそくさとヒーロー活動をこなすのも、今回の主人公アーサーらしくて似合ってましたね。

明るさと言えばDCユニバースの映画はだいたい誰か、メインの人物が死ぬということが多々あったのですが、今回はそれが全くない。

ブラックマンタの父親や魚人の王あたりはちょっと可哀想ですけど、基本的にはメインキャラの生存を安心して見れてしまう。

一応ヴィランであるオーム王子とブラックマンタだけが悪巧みを率先してやるので、敵対構造も明白。

ただ個人的にアトランティスの参謀バルコを演じるウィレム・デフォーがいつ本性を表すのか勝手にひやひやしておりました。だってずっと腹にイチモツ抱えた顔してるし、そもそも悪役顔ですし。

結局しぶ~い忠臣を演じ通してくれたので、主人公アーサーのサポートはバッチリ。ウィレム・デフォー、確かな名優です。疑って悪かった。

ラストバトルもアーサーとオームの兄弟対決からの和解でバッチリ締めて、「ワンダーウーマン」の時のような使い捨て悪役じゃないのも気持ちいい。

桟橋での両親の再会で張った伏線をストレートに回収するエピローグに、散々な目にあったブラックマンタも拾い上げる。

ことさらメインキャラクター全員に対する愛情が満遍なくあって、主軸の物語には優しさを感じました。

豊富なアクションのつるべ打ち!

言うまでもなく「アクアマン」の白眉はアクションの種類と物量の半端なさです。近年のアメコミ実写映画の中でも頭が一つ抜けている印象です。

「まだやんの!?」「それもやんの!?」「そこでもやんの!?」と絶え間なし。

ざっと羅列してみても

・肉体での格闘
・槍術剣術の殺陣
・縦横無尽に泳ぎ回る海中バトル
・スペースオペラ的雑魚兵士とビーム銃みたいな兵器
・宇宙船ぽい乗り物で海中チェイス
・飛行機から砂漠へスカイダイビング
・パルクール風の屋根づたいチェイス
・ターミネーター風の住居壁ぶっこわしチェイス
・トレンチ軍団のホラー演出と深海チェイス
・ロードオブザリング風の戦争群集バトル
・もろにただの怪獣映画…etc

このアイディアの数々、さすが拷問と殺し方の総合デパート「ソウ」の産みの親であるジェームズ・ワン監督といった所なのでしょうか。

普通これだけ考えついても予算的に無理だし、予算が通っても脚本構成が追い付かないはず。そこを押し通して、最大限に無理がないような作りはなかなかのもの。

そういえば本作は既にSNSなどで「海のバーフバリ」とも呼ばれているとかいないとか。

「バーフバリ」の監督S.S.ラージャマウリは「マッキー」にて、主人公のハエとその恋人(人間の女性)が嬉々として人の殺し方を調べ、悪役に対して暗殺を実行していくというクレイジーなくだりがありました。

絶対にジェームズ・ワン監督やラージャマウリ監督が裏で実際にやっていることなんだろうなと妄想しつつ、「アクアマン」や「バーフバリ」級のアクションを撮るためには必要な資質なのかもしれない…と本気で思い始めている私です。

場面ごとの舞台、キャラクターの特性、ストーリーを絡めてアクションにして動かす手腕。なるほど「ソウ」や「マッキー」の殺しや人を苦しめるテクニックに通じる資質…なのかも。言いきるのはやめておきます。

緩急の不在はイマイチ・・・「爆発」はもっと頂戴!

豊富なアクションが怒濤のように投入されるのは良いのだけど、いらない場面も結構多いなあとか、全てが一本調子の盛り上げ方で平坦に感じる部分もありました。

例えばサハラ砂漠の場面。正直この場所ではたいしたことは起きていません。他の場面もかなり山盛りに事件が起きるし、要るかなあと思ってしまう。

アクセントで劇中に砂漠という場所を入れる、ヒントだけゲットして次の場所へたらい回しにされる感覚自体は古き良きアドベンチャーで分からなくはないんだけど…。

場面転換と都度のアクションで飽きさせない工夫は素晴らしいけども、毎回「暴れまわり方、方法」が変わるだけで、パワーで押しきっているだけというのも、段々と疲れていきました。

そもそもアーサーは後半になるにつれて無敵度が増していくので、窮地に陥ることもほぼ無い状態。そのお陰で話の緩急が弱いなあとも感じました。

先ほど「バーフバリ」の名前を出しましたけども、この点に関しては明確に差があると思います。なので「アクアマンと言えばココ!ここは名場面!」的な映えるシーンがあれだけ派手な場面が有りながら随分と少ないです。

後から思い出せるBGMもほぼ無くて、ヒーロー映画としてちょっと物足りなさがありました。

ただ、CGや俳優パワーのごり押しで全面的にカバーしているし、この「勢いで何とかしちゃうのがアクアマンの美点」とも言えるので一概に悪いとも言えません。

一つハッキリと言えるのは劇中で3度あった「会話中に爆発が起きて襲撃されるくだり」

最初の1回と2回目で続けて同じ演出できたことにそれぞれ-5点でしたけど、イタリアで3回目が来たときには一周まわって面白すぎて15点くらい加点

次回作には必ず5回以上このくだりを入れてもらえれば「アクアマンと言えば爆発だよね!」となって、この項で述べてきたことは全て解決です。是非ご検討いただきたい。

ダサい能力「魚と話せる」が最高の武器に

 

そもそも「アクアマン」というヒーローが現実世界でいじられてきた能力「魚と話せる」

前作「ジャスティス・リーグ」でもバットマンからしつこく聞かれてアーサーはウンザリしていましたし、本作でも冒頭の幼少時代のいじられも、アクアマンのメタなネタも含みだったと推測されます。

今回の終盤ではこの「ダサいと言われてきた能力が有るからこそ勝てる、海の王として資格があるのだ」という決着には滅茶苦茶アガります!

正直なところ「スーパーマンの下位互換のワンダーウーマン・・・よりさらにちょっと下位互換なのがアクアマン」くらいにしか発揮出来ていなかった彼のポテンシャルが、ようやく陽の目を見たことがとっても楽しいし嬉しい!

「アクアマン」を見て良かったと思えた最高の場面でした。

まとめ

イマイチなところも少し書きましたけど、全体として話運びなどの安定感はDCユニバース作品で間違いなく1番!

今回はとにかくアーサーがぬけぬけとヒーローとして一直線に戦う映画でしたが、次回作ではもう少し本人の葛藤も絡めた作風にも期待。

憎悪の塊となってしまったブラックマンタあたりをうまく活かせれば、去年話題となった「ブラックパンサー」やかつてのDCの名作「ダークナイト」だって越えるポテンシャルは十分に擁していると思います。

他にも「フラッシュ」単独作や「ワンダーウーマン2」、もうひとりのジェームズが監督する「スーサイド・スクワッド2」など期待作がまだまだあるDCユニバース。いやはや完全復活ですね。

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のっち
ムービニアンズの丸い方。 趣味はゲーム・・・だったけど今はもっぱら映画鑑賞。 洋画を中心に、アニメ、ドラマをよく見る。 最近はインド映画も修行中! 今までに見た映画はこちら