原題:Nicky Larson et le parfum de Cupidon
上映時間:93分
監督:フィリップ・ラショー
キャスト:フィリップ・ラショー エロディ・フォンタン など
あらすじ
日本では1980年代にアニメ化されて根強い人気を誇る北条司の漫画「シティーハンター」をフランスで実写映画化。
ボディガードや探偵を請け負う凄腕のスイーパー(始末屋)=「シティーハンター」ことリョウは、相棒のカオリとともに日々さまざま依頼を請け負っていた。そんな2人のもとにある日、その香りをかいだ者を虜にする「キューピッドの香水」の奪回という危険な任務が持ち込まれる。
香水が悪用されれば世界は危機に陥ることは必至で、48時間というタイムリミットのなか、2人は香水を取り戻すために奔走する。
フランスの大ヒットコメディ映画「世界の果てまでヒャッハー!」を手がけたフィリップ・ラショーが監督・脚本・主演。
日本語吹き替え版は、リョウ役を山寺宏一、カオリ役を沢城みゆきが担当。アニメ版オリジナルキャストの神谷明と伊倉一恵はスペシャルゲストとして、アニメ版とは異なる役の吹き替えで参加する。
引用元:https://eiga.com/movie/91693/
12月1日 TOHOシネマズ梅田 にてデラックス吹替版を鑑賞 [ 65/100点 ]
「思わず注目してしまうけど、果たして大丈夫なのか・・・」と、普通ならちょっと考えてしまいそうになるシティハンターの実写版。しかも今回はフランスのコメディ映画監督フィリップ・ラショー。
昔子供の頃にジャッキーチェンの実写版シティーハンターを見たこともあったので不安は拭えませんでしたが・・・。
しかし公開初日が1000円デーなことと、何度か出演させていただいているポッドキャストのキャストラジオ「Gear×Gear」さんのお誘いで一緒に鑑賞&酒を飲みながら感想を収録させていただきました。
わたくし「のっち」と相方「ハナヤ」そろって、鑑賞直後の感想をふわっと喋っているのでぜひ聞いてください。ネタバレありなのでご注意を。
ものづくりポッドキャスト「Gear×Gear」第17回 「アスファルトタイヤを切りつけていけ!」
結論としましては「丁寧かつ誠実な漫画の実写化&B級映画」で、微笑ましく劇場をあとにできましたよ(ニッコリ)、といった感じでした。見たメンバー全員がそんな雰囲気でしたので、万人におすすめでございます。
以下、鑑賞直後でまとまらなかったラジオ感想を少し整理して綴ります。
本記事はネタバレが含まれます。ご注意ください。
ブラックユーモアとエロの健全な使い方
フランス流?なブラックユーモア
これは個人的な考えですが、実写化の難しさの一つに「単に漫画の話や表現を実写でやれば良いわけではない」というのがあるかと思います。
その点で今回監督したフィリップ・ラショーさん、「世界の果てまでヒャッハー!」のシリーズなどで有名なコメディの名手。映画的な笑い、ギャグとしての手腕や寄る辺となる絶対的な指針にブレがなかったです。
もっと簡単に言うと、嬉々としてブラックユーモアあふれる不謹慎ギャグてんこ盛りで、元来シティーハンターという原作が持っていない味を足しても、バランスが崩れない塩梅をしっかり心得た作りだったように思います。
特にソレを象徴していたのがパンチョという役柄でしたね。この映画版独自のコメディリリーフですが、決してメインとなるリョウとカオリ の邪魔をしない程度に暴れまわっていました。
露骨に年少の子供相手に痛い目を合わせて笑いを取ったり、この映画を見たら忘れることが出来ない「ハムスター事件」などけっこうギリギリを攻めていて、隣で一緒に見ていた小動物好きの妻akaムービニアンズのイラスト担当がどんな顔をしているかハラハラ・・・(あとで聞くとフランス流のブラックユーモアとして普通に見られたらしいです)。
しかしブラックなだけでなく、映画中に何度も出てくるベッドで人が飛んだりはねたりするギャグの使い方と種類、一発ギャグではないおかしな状況や場面から醸し出されるオフビートな笑いなど、単調にならない工夫が多くて楽しかったです。
惜しみないエロを使った健全なギャグ
シティーハンターといえば「もっこり」。
その当たり前をふんだんに取り入れていたのも良かったですね。ただしエロネタではあるものの、いやらしさが無いようなレベルに落とし込むバランス感覚よかったですね。
正直なところ序盤のリョウの家でのエロ本がドサドサ落ちてくるだの、ライフルで覗きをするだのは、後にまったく関係のない寄り道だったりしたので「この映画、大丈夫か・・・」と不安な思いもさせられましたが。
たびたびそういう「もっこりのための寄り道」が冗長に感じられる場面はあったものの、後半になるに連れそこが「太った中年おじさんとの恋愛」に置き換えられてしまう可笑しみにもなっていたりしたのでそこはうまかったです。
ついでにこの「もっこり」に付いて回るカオリのハンマー描写が(夢の中を除いて)100tハンマーではなく、実物のハンマーだったのが印象的でした。
漫画の実写化ではあるものの、実写の映画・画面構成として違和感のないフィクションラインについてよく検討されていたよう見えました。
ギャグシーンではこれまでの映画製作で培ってきたコメディ映画で許されるぶっとんだギリギリラインまで。反対に漫画的なアクションを再現するときはあえてリアル寄りに落とし込んだおしとやかにする。本作の実に巧みなポイントだと思いましたよ。
シティハンターなアクションにも満足
コメディ部分だけでなく、やはり超一流のスイーパーとしてのアクションもしっかりと映画的に格好いいと思えるレベルで満たしてくれていました。
漫画やアニメでおなじみの一撃必中なコルトパイソンはもちろんですが、本作は格闘戦も多め。
さらには映画「ハードコア
スローモーションを使った演出もあれば早回しの格闘まで見せ方も多彩で、侮れない魅力がありましたよ。
定期的に続編を作って欲しい掘り出し物映画
まとめとしては、今後続編を作ったとしても全く不安がなさそうな出来栄えだったので、2年ごとくらいに続きを見てみたいですね。
ただし、映画の規模としては今回のような「TVアニメスペシャルで収まる程度の内容」がベストかなとも思います。カオリのお兄さんに関わる、原作ではけっこう核心的な部分に触れるような今回の映画だったので、この先があるとしたら変な大風呂敷を広げないでほしいなとはおもいます。
アマゾンプライムやNetflixのドラマ化であと12話くらいみたいなあ・・・といった感想でございます。
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