映画レビュー

「ドラゴンボール超 ブロリー」30代・Z世代の感想&レビュー【ネタバレあり】

ドラゴンボール超 ブロリー

上映時間:100分
監督:長峯達也
原作・脚本:鳥山明
声の出演:野沢雅子 堀川りょう 中尾隆聖 島田敏 久川綾など
あらすじ:鳥山明原作の大人気アニメ「ドラゴンボール」シリーズの劇場版20作目となる記念作品で、2015~18年に放送されたテレビアニメ「ドラゴンボール超(スーパー)」を映画化。15年の劇場版「ドラゴンボールZ 復活の『F』」同様に、鳥山が自ら原作・脚本・キャラクターデザインを担当した。

「力の大会」が終わり、宇宙にはまだまだ見たことのない強者がいることを知った悟空は、さらなる高みを目指して修行に明け暮れていた。そんなある日、悟空とベジータの前に、見たことがないサイヤ人のブロリーが現れる。

地獄から再び舞い戻ったフリーザを巻き込み、悟空、ベジータ、ブロリーという3人のサイヤ人の壮絶な戦いが始まる。

引用元:https://eiga.com/movie/88348/

12月25日 MOVIX京都にて鑑賞 90/100点 ]

パッドマンからインド映画に浸る日々が続いて、気づけば危うくMOVIXの鑑賞ポイントが期限切れになりそうな自体に陥った私。

期限が切れる今週中に何か見るものはないかと物色していたクリスマス、見つけたのはブロリーでした。

テレビで放映された「ドラゴンボール超」などには一切触れておらず、ZとGT以降はほぼ卒業状態にあった私。

ですが子供時代に見たブロリーの登場した劇場版2作はとてつもなく印象に残っていました。そんなふわっとした思い出と映画好き界隈のざわざわとした好評を聞きつけて本作の観賞にいたりました。

実際見ると、見た人の異様な評判の良さも納得。いやいやバトルアニメの大傑作・・・いや普通にアニメ史に名を残しちゃうレベルじゃないのコレ!?

既に世間の評価も定まってきた感もありますが、自分なりの簡単な感想を綴りたいと思います。

本記事はネタバレを含みます、ご注意ください。

リブート版ブロリーとして丁寧な始まり

最高に理想的な「ドラゴンボール劇場版」

本作の面白さをひとことで言えば「劇場版ドラゴンボールに期待する全てに応えた映画」でしょう!

とにかくワクワクしっぱなし!仕事終わりで普段ならダウナーなはずのアラサーな私は、中盤から鳥肌立ちっぱなし!気づいたら手のひらが拳を握っている凄まじい興奮度!

ただその理由というのが、この映画の場合はストーリーとか感情からけっこうかけ離れた場所にあるんです。お話の良し悪しや密度どうこうじゃなくて、何かに感動して同情して興奮したりでもない。

でっかいスクリーンで戦士達が咆哮をあげながら殴り合う、ただそれだけでメチャメチャ楽しい!

もっと壊せ!もっと殴れ!もっと叫べ!もっと戦え!・・・いつの間にか童心に、子供の頃ドラゴンボールを見に行っていた男の子に戻っていました。

「親世代の業」を巡る2世代目のお話

物語の一番の見せ所は間違いなく長尺のバトルシーン。しかしそこに至るまでの導入部分もかなりテンポよく、鳥山明節も顕在で素晴らしかったです。

脚本を担当した鳥山明さんは以前映画に登場したブロリーをドラゴンボールの正史として蘇らせるべく、すごく丁寧な描き方をされています。

大方の流れとしては、

・コルド大王時代の侵略&フリーザの圧政に苦しむベジータ王

・ベジータ王が才能ある王子の未来に懸けるあまり、
パラガス親子を結果的に島流しにしてしまう

・41年後の現在フリーザがパラガス親子を発見、
ブロリーの強さを見出す

・フリーザがブロリーを連れて地球にやってきて、
悟空&ベジータを含む息子世代で決着をつける!

という因果応報とか大河ドラマなんてキーワードが出てきそうなお話です。

コルド大王、ベジータ王、パラガス、バーダックと今回メインとなるキャラの4人の親から連なる物語になっているのも大きな改変ポイントですね。

原作やアニメのZ時代での設定を存分に活かしていて、親世代からの関係性をうまく使いながら「正史としてブロリーがやってきたら」を実現できていたように思います。

こういった親、とくに毒親と言われるような生まれた本人には選べない理不尽な教育環境とか、そこに報復の連鎖のようなドロドロ話を物語の基底として盛り込むことにハッとさせられました。ドラゴンボールでもこういうのを描くのかと。

過去の世代が行ってきた非道なるというものをブロリーが一身に背負い、生きた怨念として恨みつらみをぶつける感じがたまりません。

このあたりは脚本の鳥山明さんがあえてドラマチックにしたことを明言されていますし、語り口調が相変わらずの鳥山節なのでまったく暗い印象がない。起こる事態がけっこうキツイのにギャグを挟んでうまく処理するあたりはさすが。

さらにその鳥山明さんとは試写でしか喋っていないという長峯監督の淡々とした編集も功を奏していたように思います。尺の関係もあるのでしょうが、とにかく食い気味でガンガン序盤を飛ばしていくのでテンポがとにかく良い!

公式の「ドラゴンボール超 ブロリー」第二弾予告より
序盤の馴れ初めがまとめられています

ちなみに長峯監督は40代後半のお方。昔のアニメ版からすれば新世代と言っていいでしょう。

インタビューによれば前回ブロリーが登場したドラゴンボールZ劇場版「燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」「危険なふたり!超戦士はねむれない」を監督した山内重保さんがお師匠であるとのこと。両作のオマージュ演出もふんだんに取り入れられています。

しかもこのお師匠こと山内重保さんは「復活のフュージョン!!悟空とベジータ」でゴジータを初登場させた監督でもあるのです。脚本段階で打ち合わせがなかった本作「ブロリー」ですがこれは偶然か必然か・・・。

購入した公式パンフレットの写真:監督のインタビューなどで制作過程が語られています

ともかく長峯達也監督は本作「ブロリー」を請け負うにふさわしい2世代目ドラゴンボール監督と言えるのではないでしょうか。

孫悟空の影としてのブロリー

また再映画化するにあたってリメイクされたブロリーのキャラ造形が面白く、完全に貴種流離譚の流れで描かれています。今回の映画はブロリーは単なる悪役じゃなく、ヒーローとしても見ることができる。

今作のブロリーでいうと「地位こそ低いものの本当は才能があったにも関わらず、居場所を追われ、荒んだ環境で強くなり、やがて帰還してあるべき場所へ戻る」この流れですね。

この貴種流離譚のお話は原作ドラゴンボールにおける「孫悟空」と似ています。本作の劇場版「ブロリー」は原作の悟空のお話をフリーザ編終了まで早送りした「超高速ドラゴンボール」と言っていいぐらいです。

幼少の頃にポッドで異星に送られてしまうところや、得体の知れない生き物を狩って生活してたり、その野生児感あふれる見た目のデザインなんかも少年期悟空を想起させます。育ての親以外に人と触れ合うことがなかったこと、根が純真なところも似通っています。

ブロリーが地球にやってきてからも、超サイヤ人に覚醒するくだり結果としてフリーザと戦う事になったりなど悟空との共通点が多い。またそういうった場面がマグマのあふれる背景なので、崩壊するナメック星オマージュにも見えたり。

引いた視点で見ると孫悟空がたどってきた経緯と似通ってるのですが・・・ブロリーの場合は悲惨きわまりない境遇にさらされています。そこには楽しい冒険も大勢の仲間もないんです。

孫悟空の楽しい冒険を知っているからこそ、本作を見ているとぶっちゃけ孫悟空が憎たらしくも思えてしまいます。「なんでブロリーだけこんな目に(涙)。いいぞ!悟空とベジータなんかもっと殴り飛ばせ!」なんてふうに、私は普通にブロリーを応援していましたよ。

ブロリーはたどってきた道が似ているからこそ、孫悟空(ヒーロー)になり損ねたサイヤ人であることにも注目です。

過去作の「赤ん坊時代での夜泣きの恨み」で突っかかるような宿敵関係ではありません。生きてきた境遇の明暗でもって孫悟空とブロリーを対比させた今回のキャラクター描写は評価されるべきでしょう。

大人になった今だからこそかも知れませんが、不憫な彼の肩を持ちたくなってしまうのは私だけでしょうか。もはやただ怖いだけのモンスターだったブロリーではありませんでした。

「天下一のバトル」から「その締め方」

ただただ酔いしれる30分以上の戦闘!

このバトルシーンについてはただただ頭を垂れるのみです。すごすぎる・・・。

てかこれを見に来たんですよ!コレを!劇場版のドラゴンボールを見るって、TV版で見れないような強い敵とのバトルを楽しむのが何よりも楽しいんだから!それをお腹がはちきれるまでたらふく見せてくれる!

一般的に映画におけるよく出来たアクションシーンの面白さとは「ストーリーとの連動性」「披露されるアクション技術自体の素晴らしさ」等があると思います。

この映画の場合はどちらかと言えば後者の「技術の凄さ」を堪能する方になるでしょうか。

・・・というか、あらゆるバトルアニメ技法を圧倒的な質と量で投入することに全振り!という恐ろしく野性味あふれる判断。

エモい話が同時に進行するとか、そういうのがほぼ無し!そういうストーリーとの連動性が皆無でも、全く足かせにならないほどにブロリーの暴走と迫力で押しまくる!

2Dでの格闘アニメ部分はもちろん、3Dモデルでのアクション、ブロリー特有の背景色調の反転、大技の後に地形崩壊で一体がマグマ地帯になるとか、アニメとゲーム世代も含めたドラゴンボールバトルの集大成!

公式の「ドラゴンボール超 ブロリー」FINAL予告より
驚異的なバトルの一部始終が見られる

個人的に好きなところで言うとブロリー主観視点での戦闘で、FPSゲーム世代的な、気鋭の今を走るクリエイターが作っているんだというのが伝わってきて、ゲーム好きとしては謎の嬉しさがこみ上げてしまいました。

これがブロリーの地球到着からほぼノンストップで30分以上続くというのも狂気の沙汰でしか無いです。まともにダウンもさせてもらえない悟空&ベジータ、ブロリーの両陣営。

メタで言うとこの戦闘シーン自体が死ぬ気で闘い続けたスタッフさん達のオマージュなんじゃないかってくらい。よく最後まで戦い抜けたと称賛するしかない、世界のどこに出しても誇れる一級品のアクション見せ場でした!

ドラゴンボールらしいバトルの締め

延々と煉獄のように殴り合い続けて、インフレも止まらず、どこでどうやって終わるつもりなのかハラハラ。しかしここぞの鳥山節で解決を図る、ここも本作の格好いいところだと思います。

まずフリーザのパラガス殺しからゴジータ登場まで、ここがすごくいい。

本作のパラガスとフリーザは明確な悪人として描かれています。パラガスは宇宙船についてきたビーツ(脇役)を食料確保のために容赦なく殺し、フリーザはブロリー覚醒のためにパラガスをあっけなく殺す。

悪人が本当にわるいことをする時には全体のギャグ感から一瞬逸脱するので、油断してるとヒヤッとするこの描き方!そして悪いことをすると回り回って自分に帰ってくるというド定番でちゃんと罰せられるのも本当に楽しい。

悟空とベジータがフュージョン失敗している間の30分×2回、最強状態のブロリーから一方的に殴られていたかと思うと最高に清々するし、同時におかしくって笑ってしまう。このシーンに至るまでの迫力あるバトルシーンがあるからこそ説得力が出るギャグ。最高です。

フュージョンと言えば、お約束の失敗をご丁寧にデブとガリの2パターン入れてくるのもさすが。しかもここで原作におけるフュージョン品評会審査委員長ことピッコロさんを投入する無駄な贅沢さ加減。わかってるなあ。

言うまでもなく先述した長峯監督のお師匠山内重保さんオマージュでもあるんでしょうけど、ここを早送りでお約束をきっちり入れつつフリーザを絡めてギャグに消化する手腕は一級品ではないでしょうか。鳥山&長峯コンビの合わせ技一本だと思います。

そしてバトルの締めをかざるのが必殺のかめはめ波・・・をスカしてからのドラゴンボールで願い事をかなえて決着というこの着地!

ぶっちゃけ神龍を呼び出す新キャラ「チライ」と「レモ」はあざといぐらいに子供向けで、若干イライラするくらい劇中はくどいんですけど、このラストのためなら許せてしまいました。

「ブロリーの最初の仲間」として、かつての「孫悟空とブルマ」みたいな関係になっていくのだとしたら好感が持てます。仲間や他者のためにドラゴンボールを使うというのは原作とアニメを含め、いつ見ても気持ちのいい場面ですからね。

次回作へ向けてここだけは・・・

3Dモデルの「宇宙船&背景」は最悪

明らかに次回作があるフリで終わった本作「ブロリー」。トータルでは短所を補って余りある状態ですが、それでもこれだけは言わせてください。

3Dアニメの、特に宇宙船のあたり。ここはどう見ても最悪と言っていいぐらいに浮きすぎでしたし、他のキャラ造形や背景美術が良すぎる分ひどさが目立っています。

モデリング云々のレベルの低さもそうですが、アニメーションとしてケレン味がなさすぎるのも悪目立ちする要因でしょうか。動きが画一的すぎですし、光の跳ね返り具合もツヤツヤしすぎてないですか?

宇宙船に限らず氷の大地が割れてマグマが吹き出す場面なども、割れた氷やマグマの流体表現もアニメとして心地よさを損ないすぎ。本当に足を引っ張っているので、この点は指摘せずにはいられないところです。

3Dモデルでの悟空とベジータ「かめはめ波&ギャリック砲同時撃ち」シーンは良かっただけに、落差がひどすぎるので他の3Dアニメも力を入れてほしい所。現行のアニメ分野としては3Dは欠かせない要素ですので、次回作には期待です。

まとめ

他にもツッコミどころとしては、子供にもわかりやすくという配慮なんでしょうけど説明ゼリフが笑っちゃうくらい多いとこもあるにはあるんですけどね。

でも「あなたは私のことを〇〇だと思っているから、私のことを殺そうとしているのだな!?」とか全部を言葉で言っちゃう上に、それを食い気味の間を詰めた編集で畳み掛けられるので、それがなんとも心地よくて本当に笑えてきてしまう不思議。

脚本の映画的にちょっとどうなのという部分を、うまく調理した上にポジティブに変えている辺り、今回の座組は奇跡的なくらい良いハーモニーになっているのかも知れません。あたえられた脚本をただダラダラ映像にしている映画よりよっぽど志が高いです。

序盤のそういうテンポを、加速的にあげながら長尺バトルを盛り上げて終盤へ突入していく興奮はたまらないものがあります。やっぱりあのバトルはもう一回劇場で見たい!

そして昔は「地球出身」を自負していた悟空が、最後にサイヤ人として「カカロット」と名乗ったラスト。サイヤ人一族の業を一身に背負って生きてきたブロリーに手を差し伸べたようにも見えました。やっぱ悟空はかっこいいわ・・・。

戦っている最中はブロリー派でしたけどコロッと手のひらを返すアラサーの私なのでした。

次回作も鳥山脚本、長峯監督、そして本記事では詳細には触れませんでしたが新進気鋭の大抜擢された新谷直大さんの作画監督でぜひもう一作!

その時までには見てなかった「神と神」「復活のF」、そして「ドラゴンボール超」も予習してしっかり臨みたい所存です。

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のっち
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ムービニアンズの丸い方。 趣味はゲーム・・・だったけど今はもっぱら映画鑑賞。 洋画を中心に、アニメ、ドラマをよく見る。 最近はインド映画も修行中! 今までに見た映画はこちら

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