原題:Mortal Engines
上映時間:129分
監督:クリスチャン・リバース
キャスト:ヘラ・ヒルマー、ロバート・シーハン、ヒューゴ・ウィービング、ジヘ、など
あらすじ
「60分戦争」と呼ばれる最終戦争から数百年の時が過ぎ、わずかに残された人類は地を這う移動型の都市で生活することを余儀なくされた。巨大移動都市ロンドンは、都市同士が捕食しあう弱肉強食の荒れ果てた地でその支配を拡大させ、小さな都市を捕食することで成長を続けている。
そんなロンドンの指導者的立場にあるヴァレンタインに対し、過去のある出来事から復讐心をたぎらせる少女ヘスターは、ある小都市がロンドンに捕食される騒ぎに乗じてロンドンに潜入。ヴァレンタインに刃を向けるが……。
引用元:https://eiga.com/movie/88165/
フィリップ・リーブの小説「移動都市」を「ロード・オブ・ザ・リング」「ホビット」のピーター・ジャクソン製作、脚本で映画化したのが、本作【移動都市 モータル・エンジン】です。
展開は王道、それでも飽きさせないスケール感

都市が移動し、都市同士で捕食し合う世界。
過去に起きた60分戦争と呼ばれる戦争で世界は荒廃し、人類は移動する都市で互いに捕食し合いながら限られた資源を奪い合って生きていた。
巨大都市ロンドンの代表を務めるヴァレンタインに母を殺され、復讐するため、ロンドンに忍び込んだヘスターだったが、復讐は失敗。
ロンドンで出会った少年「トム」と共にロンドンから脱出し、共に困難に立ち向かい、強大な敵であるヴァレンタインを倒す。という王道的展開です。
正直言うと、どこかで観たこと有るような話の展開で、観ていても次の展開が分かってしまいます。
まさに王道的展開。シナリオに多くを期待している人には面白くないと感じてしまうかもしれません。
ですが!
王道だからこそ、安心して物語を楽しむことができるのです!
またこの映画の特徴として、その世界観が他にないものがあります。
都市が移動し、他の都市を捕食する(そのままの意味で食べる)シーンは圧巻の一言。
さらに都市にも様々な形態があります。
ロンドンのように超巨大な都市であったり、水上を歩く都市、空に浮かぶ都市もある。
村単位での小さなコミュニティを築く都市や個人で持つ都市、まるでムカデのように地を這う都市など、次から次に魅力あふれる都市が現れて、観ている側を飽きさせない。
これは王道展開で安心して観ていられるからこそ、純粋に様々な都市を楽しむことが出来ました。
最強の敵は父?愛の力で世界を救う!
ロンドンから脱出したヘスターとトムには様々な試練や追手が現れ、二人を追い詰めます。
特に前時代の兵器であった人造人間「シュライク」はまさに凶悪で、一言で言うなればターミネーター。
鋼の体と強力な力で幾多の都市を破壊してきた「シュライク」は、とある理由でヘスターを追いかけます。
その理由とは、シュライクの本当の目的は、ヘスターの救済でした。
ヘスターは子供の頃、母をヴァレンタインに殺され、一人逃げ出したところ人造人間である「シュライク」に拾われます。
シュライクは、ヘスターを彼独特の方法ではあったものの立派に育て上げ、ヘスターもシュライクに父親に似た感情を持つようになります。
ですがそれでもヘスターは母親を失った悲しみを忘れられないでいました。
そんなヘスターを見たシュライクは、ヘスターを自分と同じ人造人間に変えてしまおうとする。
シュライクが人間だった頃、彼には子供がいました。
ですが、戦争か何かが原因で子供を亡くしてしまい、その悲しみから逃れるため、彼は人造人間となり、心を持つことをやめた。
悲しみを忘れられないヘスターをみたシュライクは、自分と同じようにヘスターを一度殺し、人造人間として再生させ、悲しみから解放させようとしたのです。
作中中盤でその事が明らかになった時、血の通わない唯の殺戮マシーンだったシュライクが、急に血の通った不器用な父親にしか見えなくなってしまいました。
ヘスターもシュライクの真意が分かっているから、どうしてもシュライクを攻撃出来ない。
シュライクの真意を分かっていても、ヴァレンタインへの復讐のため、そしてトムと一緒に居たいがために人造人間になることを拒んだヘスター。
二人の不器用ながらも、愛のある関係に胸打たれました。
作中終盤。トムを殺そうとしたシュライクを、ヘスターが懇願して止める。
その様子をみたシュライクは、ヘスターの心をトムが癒やし、自分はもう必要無くなったのだと理解して、ヘスターから預かっていた母の形見(最終兵器の破壊キー)をヘスターに渡し、死んでしまう。
母から託された希望(最終兵器の破壊キー)を父親代わりのシュライクが預かり、ヘスターが一人前に成長したときに、父から娘へ受け渡す。
父と母。二人の愛情が世界を救う。
正直この映画で、こんな親子愛的な話が出てくるとは全く思っていなかったので、良い意味で予想を裏切られました。
移動都市/モータル・エンジンまとめ
復讐から始まった物語は、反都市同盟と、移動都市ロンドンとの戦争へと物語は向かい、どんどんスケールが大きな展開となっていきます。
最後は母に託され、シュライクから返された「最終兵器の破壊キー」を使ってヴァレンタインの暴走を阻止し、ロンドンと反移動都市勢力を助け、ヘスターとトムは恋仲となって物語は終わります。
まさに王道的物語ですが、その中に母親の愛、心を失ったはずの人造人間の不器用な愛、そして恋人の愛。沢山の人達の愛を得て、ヘスターが成長していく、
ヘスターの成長物語でもありました。
正直あまり期待していなかっただけに、とてもよく出来ていて良い意味で期待を裏切られた感じです。
好みの物語だったので、原作が気になってしまいました。
評価も悪くないので、一度読んでみようかと思います。
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