原題:Padman
上映時間:137分
監督:R.バールキ
キャスト:アクシャイ・クマール ソーナム・カプール ラーディカー・アープテーなど
あらすじ:現代のインドで、安全で安価な生理用品の普及に奔走した男の実話を映画化したヒューマンドラマ。
インドの小さな村で最愛の妻と新婚生活を送るラクシュミは、貧しくて生理用品が買えず不衛生な布を使用している妻のため、清潔で安価なナプキンを手作りすることに。
生理用品の研究とリサーチに明け暮れるラクシュミは、村人たちから奇異な目を向けられ、数々の誤解や困難に直面する。そんな彼の熱意に賛同した女性パリーの協力もあり、ついに低コストで大量生産できる製造機の発明に成功。
農村の女性たちに、ナプキンだけでなく、その製造機を使って働く機械も与えようと奮闘するラクシュミだったが……。
引用元:https://eiga.com/movie/89723/
12月7日公開の映画「パッドマン 五億人の女性を救った男」
「バーフバリ」、「ダンガル」など2018年は大作のインド映画がシネコンで見られる機会がたくさんありました。
今年の暮れを締めくくるインド映画「パッドマン」ですが、主演のアクシャイ・クマールなどをはじめ見慣れない俳優さんも多いのではないでしょうか。
この記事では本作の出演者、監督の関連作品などを紹介していきます!
目次
エアリフト ~緊急空輸~
おすすめ度
原題:AIRLIFT
上映時間:119分
監督:ラージャー・クリシュナ・メーノーン
キャスト:アクシャイ・クマール ニムラト・カウル クムド・ミシュラーなど
あらすじ:1990年の湾岸戦争の最中、クェートに住む裕福なインド人ビジネスマンが、すべてを掛けてイラクに歯向かい、17万人ものインド人を避難させる。 (Netflixより)
実話ベースの映画で主演という「パッドマン」と共通した特徴のある映画です。
(ただし本作の主人公は、複数の実在の人物を組み合わせた架空の人物)
祖国をインドを離れてクウェートで成功を収めていた高慢な実業家で主人公ランジート。夫婦と娘の三人で裕福に暮らしていたものの、突然やってきたイラク軍によるクウェート侵攻。
このイラク軍によるクウェートの略奪風景がなかなかエグいです。決定的な残虐描写は映らないものの、「銃を持った軍人の傍若無人ぶり」と「一般市民の無力さ」という弱い者いじめが劇中の端々で唐突にやってくるあたり、戦時下の緊張感がある映画です。まあとにかく、終始イラク軍にすっげーイライラしますよ!
さらに同胞のクウェート在住のインド人に避難所を作ってかくまうわけですが、注文ばかりつけるワガママ避難民にイライラ!
さらにさらにインド本国の当局に何度も電話するも、ちっとも助けを寄越さないし取り合いもしない職員にイライラ!
しまいには「善人づらをしないでさっさと家族だけで脱出すればいいじゃない」と奥さんにも迫られる板挟み!
この窮地をランジートはどう切り抜けるのかは、是非ご覧になってくださいな。
平時は成功者だったランジートが、ただただ無力さを思い知るあたりは結構しんどいです。序盤のやな感じの成金顔から、地獄を見つめる哀しみの表情、ポーカーフェイスでの緊迫した駆け引きなど、アクシャイ・クマールのどっしり演技を堪能できる作品です。
オーマイゴッド~神への訴状~
おすすめ度
映画『オーマイゴッド 〜神への訴状〜』のネタバレレビュー・感想[98件] | Filmarks
原題:OMG OH-MY-GOD
上映時間:128分
監督:ウメシュ・シュクラ
キャスト:パレッシュ・ラワル アクシャイ・クマール ミトゥン・チャクラバルティー
あらすじ:ムンバイで神像を扱うお店を経営するカーンジーは無神論者。ある日、地震でお店が倒壊するが、天災は保険対象外。起こったカーンジーは神様を訴えることに・・・!?(Netflixより)
こちらは喜劇&脇役で出演している「オーマイゴッド~神への訴状~(以下、OMG)」
主役はパレッシュ・ラワル演じるカーンジーおじさん。低価格で買い付けたお土産人形を、自分の店で高値の神像として売りつける詐欺まがいの中年おじさん。
「神なんてナンボのもんじゃい!」
なんて態度をしてたら自分の店だけ地震で倒壊(周りの店は全部無傷!)。破産を目前に保険屋を頼ったら、天災では保険は下りないことに逆ギレして「天災は神のせいだ!神から補償金とってやる!」と裁判へ奔走する物語。
皮肉の効いた笑いが中心のコメディであり、インドにおける宗教ビジネスへの批判も織り込んだ見やすい映画です。
物語の中心はカーンジーvs宗教家幹部の裁判なのですが、肝心のアクシャイ・クマールさんの役はというと・・・なんと「神さま本人」!
詳しい展開は伏せますが、太眉でにっこり微笑むアクシャイさんは本当に絵画の神様ぽくて妙に合っている不思議。神なのをいいことにヌケヌケとしたアクションシーンや、おおらかな紳士的ふるまいを見ることが出来ます。
ちなみに宗教の欺瞞をテーマとしている映画では「PK」が比較対象としてよく名前があがるようです。「きっと、うまくいく
ルストムの裁判
おすすめ度
映画『ルストムの裁判』の感想・レビュー[12件] | Filmarks
原題:Rustom
上映時間:141分
監督:ダルメンドラ・スレシュ・デサイ
キャスト:アクシャイ・クマール イリヤーナー・デクルーズなど
あらすじ:1959年 ボンベイ。海軍中佐が妻の不倫相手を殺した罪で逮捕され、事件は瞬く間に世間の関心を集める。無実を訴える男は愛国者か、それとも計画的殺人犯か?(Netflixより)
オーマイゴッドと同じく(?)裁判物の映画。あちらでは神様として傍観でしたが、こっちは殺人の罪を早々に自首した上、さらに弁護士をつけずに自己弁護するキレ者な海軍中佐です。
妻の不倫相手を撃ち殺してしまうというスタートで、かつての昼ドラのようなドロドロな始まりを見せる本作。しかし物語の焦点は「ただの不倫話」から、徐々に「陰謀を描くミステリー」へとスライド・・・。
裁判を通して事件の経緯、真実を追っていくことになるのですが、肝心の主人公「ルストム」がとにかく信用ならない。
ルストム自身の証言や彼が弁護人として証明してみせる真実、そもそもの海軍中佐らしい寡黙で実直な態度は清々しいのですが、常に「この男、何かある・・・」と思わせる緊張感ある演技とストーリーを見せてくれます。
どう考えても劇中に全く合っていない一部の音楽(と音楽演出)を除けば、会話劇で積み上げていく資質剛健な快作ではないでしょうか。
優しい笑顔はほぼ封印し、奥底で何を考えているかわからない仏頂面を見せ続ける本作のアクシャイ・クマール。この「ルストムの裁判」で国家映画賞主演男優賞を受賞しています。彼の演技の真価が見たい人は必見!
不倫相手と夫の板挟みになる妻シンシア役のイリヤーナー・デクルーズ。傑作「バルフィ!人生に唄えば
チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ
初心者へのおすすめ度

原題:CHANDNI CHOWK TO CHINA
上映時間:155分
監督:ニキル・アドヴァーニー
キャスト:アクシャイ・クマール ディーピカー・パードゥコーンなど
あらすじ:中国へ渡ったインド人青年の活躍を描くボリウッド製カンフー・コメディ。インド・デリーの市場で働くシドゥは、2人組の中国人に“あなたは中国の英雄の生まれ変わりだ”と言われ、すっかりその気になってしまう。
つまらない人生から抜け出すチャンスだと考えたシドゥは、彼らに誘われるままに意気揚々と中国へ出発。しかし、彼らの真の目的は、故郷の村を牛耳るギャング・北条をシドゥに退治させることだった……。
引用:https://eiga.com/movie/54172/
デリーの大通り(チャンドニー・チョーク)に暮らしていたおバカでトンマのシドゥ君が、ひょんなことから中国へ渡って(トゥ・チャイナ)、美女を追いかけたり、悪党に追われたり、カンフーを会得しながら村を救う。
ハチャメチャながらこれ以上ないシンプルなお話です。未見の人でも、見ている間にだいたい先の展開は予想がつくのではないでしょうか。
でも単純明快なこの話を彩るのは「これでもか!これでもか!こ・れ・で・も・か!」と釣瓶打ちに繰り出されるギャグと荒唐無稽な絵ヅラの嵐!この圧倒的物量は未見のあなたが思うより遥かに斜め上でしょう。
蹴飛ばされて空を飛ぶのは当たり前、007やキングスマンを軽く越えてしまうガジェットの数々、カンフーを会得できれば自然を操ることなど造作もなし!
胃もたれがするほどのこってりなB級映画・・・なのでこの路線のインド映画馴れをしていないとしたらおすすめ度は星2。
しかし友達と一緒にやんやとツッコみながらみれば星5にも星10にもなる映画!バトル漫画などにありがちな修行シーンが始まると、熱いラストバトルまでは一気に楽しさが加速!
まったく大袈裟でなく「スーパーマリオくん」的なギャグ漫画主人公を演じきってしまっているアクシャイ・クマールの引き出しの多さに感心・・・というか呆れてしまうばかり。
必殺技「パラーター(揚げパン)・ラッシュ」を叩き込む彼は最高に熱く・かわいく・可笑しいのでぜひご覧あれ。
誰かをインド映画沼(もしくはアッキー沼)に引きずり込んでから、楽しく鑑賞会するのがオススメです。
ヒロインを演じているディーピカ・パドゥコーン。彼女のデビュー作「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」は日本のインド映画ファンなら言わすもがなの人気作!インド映画初心者の入門としても見やすい映画ですよ。
アクシャイ・クマールも凄まじくIQの低いおふざけシーンにちょこっと出ているので必見です!
マダム・イン・ニューヨーク
おすすめ度

原題:English Vinglish
上映時間:134分
監督:ガウリ・シンデー
キャスト:シュリデヴィ メーディー・ネブー アディル・フセイン アミターブ・バッチャンなど
あらすじ:専業主婦のシャシは、2人の子どもと忙しいビジネスマンの夫サティシュのために尽くしてきたが、事あるごとに家族の中で自分だけ英語ができないことを夫や子どもたちにからかわれ、傷ついていた。
ニューヨークに暮らす姉から姪の結婚式の手伝いを頼まれ、渡米したシャシは、「4週間で英語が話せる」という英会話学校を見つけ、姉にも内緒で英会話学校に通うことを決める。
仲間とともに英語を学ぶうちに、次第に自信を取り戻していくシャシだったが……。
引用:https://eiga.com/movie/80110/
「パッドマン」のR.バールキ監督がプロデューサーとして携わり、妻のガウリ・シンデーが初監督を務めた作品。R.バールキ監督作品が通常ではなかなか見る機会がないので、今回はコレをピックアップ。
主演は2018年2月に亡くなられたシュリデヴィ・カプール。
主な舞台がニューヨークということや国際向けにとても見やすくカスタマイズされた演出で、インド映画馴れしていようとなかろうと見やすい印象を受ける作品。
かといって欧米的な映画に染まりきってはおらず、インド映画の根幹のモチーフとしてよく使われる「神的な啓示による導き」、「結婚(家庭)vs恋愛」の葛藤などインド映画としての矜持も内包しているユニークな映画です。
英語が苦手なことで夫や娘に小バカにされ、親戚の結婚式を手伝うために単身渡ったNYでは言葉が通じない孤独に悩み・・・。海外渡航の経験がある方は、伝えたくても伝えられない辛さはかなり共感できるのではないでしょうか。
物語のキーとなる序盤の「カフェで注文がうまくできない」シーン。言葉が通じないことでカフェ店員から徹底的にイジメられる主人公シャシの描写はかなり容赦がなく、かなりウマイ演出が光ります。
このシーン、事前に大御所俳優アミターブ・バッチャン様が「何事も”初めて”は1度だけ。その1度は特別な体験だ、だから楽しんで」と作品テーマの一部を神々しく提示するセリフがなければ、観ていた私は辛すぎて死んでいました。
何歳になっても新たに学ぶこと、助け合える交友を持つことの素晴らしさ。それらを恐れずに挑戦する勇気を鮮やかに描ききっています。
”スピーチ”という共通のキーワードを考えても、ぜひ「パッドマン」と合わせて見ておきたい大傑作!
ちなみに冒頭の飛行機内でアミターブ・バッチャンが喜々として見ている映画は「ミッション:8ミニッツ
ミルカ
おすすめ度

原題:Bhaag Milkha Bhaag
上映時間:152分
監督:ラケーシュ・オームプラカーシュ・メーラ
キャスト:ファルハーン・アクタル ソーナム・カプール ディビヤ・ダッタなど
あらすじ:1960年ローマ・オリンピック。400メートル走のインド代表選手ミルカは、ゴール直前で後ろを振りかえるという前代未聞のミスを犯して4位となり、メダルを期待していた国民からバッシングを受ける。
帰国後、ミルカはパキスタンで開催されるスポーツ大会のインド団長に指名されるが、断固として拒否したため、首相の命令で首相秘書とミルカのコーチが説得しに行くことに。
ミルカが暮らす町へと向かう電車の中で、コーチは首相秘書にミルカがパキスタンへ行きたがらない理由を話しはじめる。
引用:https://eiga.com/movie/80675/
偉人の実話からインスパイアを受けた映画という点で「パッドマン」と共通していて、ソーナム・カプールも出演している作品(ただし出演シーンはかなり短め)。またインド映画においても度々出てくるパキスタンとの良好ではない関係を扱った映画でもあります。
物語の大部分は、過酷な環境で生きることを余儀なくされた主人公ミルカ・シンが陸上選手として成長していくストーリー。
ミルクのために異常なやる気を見せて走り出したり、やりすぎなくらいの練習描写だったりと、古き良きスポ根漫画を思わせる熱い描写が多い。
あえて抑えている映画全体の淡白な色調が表すように、色恋沙汰や彼をささえる家族や友人などは出てくるものの、ほかのインド映画に比べるとアッサリと言っていいくらい薄味で尺も抑えめ。
ひたすら自己と向き合い続けなければならない陸上のトラック競技ゆえなのか、彼の走りと葛藤にフォーカスして150分を駆け抜けます。ミルカが”ある人物と併走”するラストシーンは屈指の名場面です、ぜひご覧ください。
「パッドマン」の字幕を担当され、パンフレットにも充実した記事を書かれている松岡環さん。この「ミルカ」や「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」などにも携わり、今も最前線で活躍されています。
良くも悪くも日本での「インド映画のイメージ」を定着させた1995年の「ムトゥ 踊るマハラジャ」もその一つ。一度は見ておきたい南インド(タミル語)の名作です。
「バーフバリ


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